第1話はこちらから
あれから3週間が経とうとしていた頃、彼女からLINEがが来た。
「そろそろ体組成計、測りに行きませんか?」
その文面にはまだニュースキンへの勧誘の要素はない。
私は快く返事をし、心の中では勧誘されたときのための断る口実を準備した。
ニュースキンのショップへ到着すると、前回と同じように体組成計、肌チェック、栄養素をチェックをした。
仲間はまだ来ない。
「座って体組成計などの結果をゆっくりみましょう」と彼女。
さぁ、勧誘が始まるゾと覚悟をして座った。
彼女は私の前回の結果と今回の結果についてアドバイスを始めた。
私が「美しくなるために頑張る人」
彼女が「美のトレーナー」
という位置関係を作りたいようだった。
が、なかなかうまくいかない。
彼女は試供品のプロテインパウダーを水に溶かし、私へ飲むように勧めた。
彼女は話す、このプロテインパウダーの中にはプロテインの他、沢山の栄養素が入っているんです。
私は答える、
それはすごく画期的な商品だ。
体を作るためには沢山のサプリメントが必要で、全てを揃えると莫大なお金がかかる。
なので、プロテインパウダーの中に必要な栄養素が入っているととても助かる。
私の尊敬するボディービルダー達もそう言った商品を作っている。
そう説明し、筋肉ムキムキの山本義徳と北島達也をスマホで検索して見せた
彼女は最初ピンと来なかったらしく、どうやって作っているの?プロテインパウダーをいくつかブレンドしてるの?ビタミン剤とか混ぜるの?
などと言っていた。
私は説明した。市販品を買って混ぜているという意味ではなく、彼らはボディービルダーとしてのノウハウを生かしてプロテインパウダーの商品開発をし、販売しているのだと。
そして、彼らの商品は”彼らの実績”があるからこそ説得力があり、私はこういった商品こそ信頼を感じ購入したいと思うんだ、と彼女に説明した。
つまり、私は彼女の営業トークを潰したわけだが彼女に伝わっていたかどうか定かではない。
ちなみに本当は安いプロテインでいい。
その後もちぐはぐさは止まらない。
「このプロテインはすごく腹持ちが良いんです。だから私は朝ごはんにこれだけを飲んでお昼ごはんは14:00頃で大丈夫なの」と彼女。
体内のタンパク質は6時間でなくなってしまうのでなくなる前に補充が必要、だから1日5回に分けてプロテインを摂取している、と私。
もうダメだ、彼女は勧誘に失敗している。
私のダイエットと彼女のダイエットは根本的な考え方が違っているのだ。早くそこに気付いて営業トークを修正するべきだが彼女にはそれができない。
なんで仲間は来ないのだろうか、彼女だけでは戦力不足だ。
人数そろえて威圧感を作らないといけないし、金儲け方面のアプローチも必要だ。
マルチ商法全盛期に青春時代を過ごし、散々マルチ商法に誘われてきた私には物足りない。これではブログネタにもならないじゃないか。
「もう遅いしそろそろ行こうか」
かったるい営業が続くばかりなので私から切り上げた。
帰りの電車の中で私は彼女にLINEを送った。
「今日も誘ってくれてありがとう(^ ^)
勧誘されたら断るつもりだったのに、勧誘しないんだもん(^_^;)
期待させると申し訳ないから私の方から先に断っておくね。
商品もビジネスも、私の価値観とは違うんだ。
私に費やす時間を他の人の勧誘に使ってね。
◯◯さんの成功を祈っています。
今度仕事帰りにご飯でも行こーね♪」
これは、本音だった。
私はマルチ商法をしている彼女を批判したり判断したりはしない。
その代わり私の筋トレ生活への介入は許さない。
そんな風にドライに思えるのは、最近読んだアドラーの「嫌われる勇気」の影響だ。
アドラーは言う。
「他人の課題に踏み込まない、自分の課題に介入させない。」
それは他人の価値観を尊重し、自分の価値観を守ることだと私は理解している。
この教えを守れば、マルチ商法特有の上下関係は作られないはずだ。
彼女からの返事は「勧誘などするつもりはないよ、kaoriさんは美意識が高いから誘ってみたんだ」というものだった。
最近会社で席替えがあり、彼女が私のすぐ後ろに来た。
今後の彼女との関係がちょっと気がかりだ。
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ブレないために読むべき一冊
ニュースキンはネットでも売っていますね。